セキュリティトークンの台頭

多くの人が信じる通り、セキュリティトークンは仮想通貨(暗号通貨)とブロックチェーンの世界において次に来る大きな波です。ICOに投資する理由は、ICOトークンやコインが利点を備えて発行されるからでしょう。つまりそのトークンの所有者にサービスへのアクセス権を与えるというものです。ICOの開発の進め方への発言権が得られたり、プロジェクトの稼ぎの一部を貰える場合さえあります。もしそのプロジェクトが実現可能なものであれば、そういった発行時から備わっている利点は時間とともに大きくなり、トークン価格の上昇という形になって表れます。つまり購入者は利益を得るということです。

ICOが最初に実施されたのは2014年で、7つのプロジェクトが合計3,000万ドルの資金を調達しました。2015年にも7つのプロジェクトが資金を集めるためにトークンセールを実施し、合計900万ドルの資金調達に成功しました。ICOが急増したのは2016年で、43のプロジェクトがこのデジタル・クラウドファンディングにより資金を集め、調達額は合計2億5600万ドルにも及びました。DAOがハッキングを受けプロジェクト失敗し、イーサリアムブロックチェーンのハードフォークまで引き起こした悪名高い事件が起きたのもこの年でした。そして2017年、ICOは爆発的に増加しました。342種類のトークンがICOにより新たに発行され、54億ドルにも及ぶ資金を集めました。ICOセールは熱狂的な出来事になりました。乗り遅れることへの恐怖(fear of missing out, FOMO)という言葉が出来て、ファンダメンタルは無視されました。その時すでに、ICOはブロックチェーンや仮想通貨プロジェクトの資金調達方法としてトップだった伝統的なベンチャーキャピタルを上回っていました。

2017年は、ICOにとってターニングポイントとなる年になりました。証券であるかどうかという問題です。アメリカ証券取引委員会(SEC)が発表したのは、アメリカの投資家に売られたトークンが証券としての属性を持っているなら、そのトークンセールには米国証券法が適用されるということでした。ただ、ICOが直面している問題は、それらのトークンがユーティリティトークンかセキュリティトークンのどちらに分類されるかです。違いはこうです。セキュリティトークンは取引可能な外部の資産に裏付けられます。会社は自社株の持ち分を表すトークンを発行可能になります。セキュリティトークンは連邦証券法が適用されます。ユーティリティトークンはプロジェクトのサービスや商品へアクセスするのに使われます。こちらの場合は投資として見なされず、セキュリティトークンのように会社の所有権を与えるものではありません。ユーティリティトークンはギフトカードのように、サービスや商品と交換可能なものです。

トークンがユーティリティかセキュリティ(証券)かを判別する際、ハウェイテストを実施します。これはトークンセールが投資契約として成立するかを明らかにするのに役立ちます。もし投資契約と見なせるならトークンセールはセキュリティであり、証券の規制に従わないといけません。ハウェイテストの4つの項目は以下です。購入者はお金か資産を投資しているか。購入者は利益を期待してプロジェクトに投資しているか。その投資とプロジェクトが「共通の企業(common enterprise)」に対するものであるか。利益が第三者の努力のみに依存するか。しかしいくつかのグレーゾーンがあるため、トークンがユーティリティかセキュリティのどちらに分類されるかは明確な答えはありません。「共通の企業」の定義がはっきりしていないのがその1つです。この言葉が適切に定義されていないために投資に関して訴訟が起きたりしています。また、SECがハウェイテストを仮想通貨にどのように用いるかもわかりません。

結局、SECの委員長であるJay Claytonは、全てのトークンが証券であるとはっきり心に決めてしまっているように見えます。ICOが、トークンがユーティリティトークンとしてどのように使われるのかを設計している場合もある一方、SECはどのように使われているのかを見ます。つまり「実質優先」ということです。もしあなたがICOで発行されたトークンを、価値の上昇(その結果利益を生むこと)を期待して購入したなら、それはセキュリティトークンとしての条件を備えています。そのICOがユーティリティトークンにしたがっていてもです。

したがって、セキュリティトークンはまさに「未来」なのです。仮想通貨界は規制が存在しないことで苦しんでいて、それが無法状態を作り出している部分もあります。世界中の政府はこの飛び入り自由の状態が続くことを許さないでしょう。SECは既にICOやアメリカでの関連するコインの発行に対する取り締まりを始めています。そして他国の規制当局も、この発生段階にある仮想通貨産業の規制へ向けて動き出しています。議員達が規制を始めようとしていることで、セキュリティトークンが仮想通貨界の次の大きな波となる可能性がどんどん大きくなってきています。

規制当局がトークン発行を取り締まっているため、多くのICOが証券とみなされないように必死になっています。もし証券と見なされようものなら、規制や制限によってプロジェクトが広く使われるプラットフォームを作り出す能力を大幅に制限されると信じられています。この能力が成功のために必要なのです。

ICOが証券(セキュリティ)になるメリット

しかし、ICOが証券となることには多くの利点があります。もはや規制を避けるために(多くの場合アメリカを完全に避けたりして)トークンを設計するべきではありません。これらの利点は、長い目でみればスケーラビリティ(拡張性)の問題を乗り越えるのに役立つでしょう。連邦法に遵守したセキュリティトークンを発行するのは、ICOでユーティリティトークンを発行するよりも安くて効率的です。規制の枠組みに則ってセキュリティトークンを発行するには色々な方法があります。ちなみに規制の種類としてはRegulation A+、Regulation D、Regulation S、Regulation Crowdfundingなどがあります。法的リスクが軽減され、発行者も投資家も証券法によって守られることになるのです。これはつまり、早く金持ちになりたい投機家などではなく、機関投資家がICOへの投資に興味を持つことにもなります。これは成功するための大きな後ろ盾を得られるということで、そのプロジェクトにとってとてもポジティブなことです。また、セキュリティトークンは投資取引から仲介人(多くの場合いくつかの銀行)を排除出来るという点で、伝統的な金融商品にはない優位性があります。仲介人の排除により、自由な市場への露出が増え、取引実行が速くなり、手数料が安くなり、金融機関による改ざんがなくなり、サービス機能が自動化し、より多くの投資家があつまる可能性も広がります。

さらに言うと、既にトークンをセキュリティ(証券)として登録したプロジェクトは、証券規制を遵守していない発行体への取締を尻目に平然としていられます。SECが未登録のセキュリティ発行に対して執行活動をしても、大きな邪魔を受けずに済むのです。もしICOがユーティリティトークンとしてトークンを発行して、後にセキュリティと見なされれば、そのプロジェクトは結局トラブルに見舞われかねないでしょう。プロジェクトの終了にまでなるかもしれません。未登録証券の発行は、「1933年証券法」を破ることになります。それに加えて罰金や、発行者の最長5年の懲役にまでなり得ます。流通市場も刑事罰を受ける可能性があります。

たとえもしSECが法律違反者を処理する立場になかったとしても、ICOに投資した人たちが発行者に対し、個人的訴訟を起こすこともあり得るでしょう。発行者だけでなく、それらの規制外の取引を行った流通市場も訴訟対象の候補です。ユーティリティトークンの発行者が気にかけるべきは連邦証券法だけではありません。青空法(不正証券取引禁止法)という州ごとに制定された証券法もあるからです。もし証券として登録していなければ、ICOでの取引においてこの法律は大きな影響を持ちます。発行者は購入者の住んでいる州の法律まで遵守する必要があるのです。しかし、セキュリティトークンを発行するICOは、Rule 506(c)やRule 506(b)、Regulation Crowdfundingなどの免責を求めることが出来ます。連邦法は青空法に勝ります。ほとんどの購入者は、トークンを意図されたユーティリティ(使い方)で使いません。多くの人は彼らの「投資」が成長するのを待ってトークンを握っているのです。もしICOがトークンを証券として登録していれば、投資家に対してより大きな利点を与えることが可能になるでしょう。利益の共有や配当、投票権などです。セキュリティトークンが良いのは、そのトークンがユーティリティとしてもともと設計された役割を果たすことも出来るということです。ユーティリティトークンに「デュアルトークン」としてのこの多才さはありません。

SECのような規制当局の目的はICOや仮想通貨市場のような芽吹きつつある市場を締め付けることではありません。ただ、普通の投資家を詐欺から守ることは規制当局の義務です。合法的なICOは、腐った果実のせいで市場が受けている悪い方向への圧力に苦しんでいてます。このエコシステムの先駆者たちの多くは、新しい市場にもたらされる規制や体系化を歓迎しているのです。要するに、発行者だけでなく購入者に対しても行動規範に関する規制や法律が敷かれたなら、より安定的で公正なプラットフォーム上での取引が可能になるということです。それが成長や進化につながっていきます。まだ黎明期ではありますが、セキュリティトークンの支持者たちは、長期的にはユーティリティトークンよりもセキュリティトークンの方が利点があると信じています。

現在、SECの指針を遵守したトークンをリリースしようとしているプロジェクトがどんどん増えていて、このトレンドは成長する一方です。PolymathやTokenize.ioのような新興プロジェクトや、Poloniex、Equibit、tZeroのようなプラットフォームの数々はセキュリティトークン市場の重要性を引き上げようと計画しています。多くのセキュリティトークンの支持者たちは、トークン化された資産の所有権が一般投資家やビジネスを惹き付けると考えいています。伝統的な株式市場は場所によって取引時間が違いますが、セキュリティトークン支持者たちは金融市場が世界中で24時間同様に機能するようになる可能性があり、それによって仮想通貨市場が一般に対して魅力的に映ると考えています。さらには、セキュリティトークンは、ベンチャーキャピタルに投資するための財源やつながりを持たない者を含む大きな投資家グループの全ての一員が、実在する公平な資産(分割可能で実用的な投資機会)の小さなパイを取ることを可能にします。そして流動性を保ってそれらの資産を他の投資家と取引出来ます。一方で起業家はより大きな資産プールにアクセス出来て、伝統的投資スキームよりも会社のコントロールを維持するのが容易になります。それに加えて、仮想通貨は不動産開発のような市場において、比類の無い機会を創出するかもしれません。そこでは3000人の投資家が3つのプライベートエクイティ会社を持つ代わりに、プロジェクトを買収する可能性もあります。このようにして、セキュリティトークンは投資家だけでなく起業家にも同様に、投資への民主化されたアクセスを実現します。

2017年の主流は投機的な利益をもたらすユーティリティトークンによって資金を集めるICOでした。しかしこれは、ICOの全体的な目的を損なうものでした。その目的とは起業家に資金、規模、匿名性、代替可能性を提供することでイノベーションを助長することです。そのため2018年と2019年において、セキュリティトークンが中心になる可能性はかなり高いでしょう。今後数年で、突出したセキュリティトークンの数は膨れ上がっていくでしょう。今こそ仮想通貨市場全体がセキュリティトークンに対する立場を見直し、それが仮想通貨とブロックチェーンエコシステムの進化の道にあることを評価する時です。

ICO Crowd(2018年5月15日)
翻訳 from
http://icocrowd.com/the-rise-of-the-security-token/